2018年9月のひとりごと
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2024-02-23T13:35:35+09:00
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2018-09-01T00:00:00+09:00
学校の給食指導
https://www.hinomine-mrc.jp/pages/56/detail=1/b_id=356/r_id=103#block356-103
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<div> 小児の心身症外来をしていると、担任による学校給食の指導により食べ物がのみ込めなくなったり、学校に行けなくなったりする子どもがよく受診します。そこで今回のブログでは給食指導について述べます。</div>
<div> 学校給食法は昭和29年に制定され、教育活動の一環として実施されてきました。そして平成20年1月の中央教育審議会答申「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」を受け、平成20年6月に大幅に改正されました。第1条(法律の目的)では、「この法律は、学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資するものであり、かつ、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものであることにかんがみ、学校給食及び学校給食を活用した食に関する指導の実施に関し必要な事項を定め、もって学校給食の普及充実及び学校における食育の推進を図ることを目的とする。」とされ、「学校における食育の推進」が新たに規定されました。つまり、学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資するものであり、そのために食育の推進を図ることがうたわれています。</div>
<div> ところが、担任による学校給食の指導により食べ物がのみ込めなくなったり、学校に行けなくなったりする子どもが少なからずいます。私が治療した摂食障害や不登校になった子どもたちに対する給食指導には次のようなものがありました。</div>
<div> 最もひどいケースは、担任が何でも食べられる子どもにしようとして、口の中に食べ物を押し込み、のどに詰まって苦しい思いをしました。その後、その子は怖くて固形物が飲み込めなくなりました。また別のケースは、小学入学前の子どもに保育所の保育士が厳しく給食指導をしたために、小学校での給食の時間が心配で入学後に登校できにくくなりました。あるケースは、小学校低学年の担任が、クラス全員が完食したら宿題が少なくなるとの指導をしました。もともと食べるのが苦手だったその子は、クラスメイトから全部食べていないことを非難され、それをきっかけに極端に食事摂取量が少なくなり、学校にも行けなくなりました。また、小学中学年の担任が脂肪を摂りすぎたら太るとの指導をしたため、その子は脂肪分だけでなく、食事摂取量全体が極端に少なくなりました。神経性食欲不振症(神経性やせ症)と診断し約3か月間の入院治療を必要としました。</div>
<div> 学校給食法に定める給食指導とは、「給食の準備から片付けまでの一連の指導の中で、正しい手洗い、配膳の方法、食器の並べ方、はしの使い方、食事のマナーなどを習得させる。」とあります。そして給食の時間における食に関する指導の内容は、(1)楽しく会食すること、(2)健康に良い食事のとり方、(3)食事の安全・衛生、(4)食事環境の整備、(5)食事と文化、(6)勤労と感謝、とされています。第一に楽しく会食することが挙げられています。子どもたちの心身の健康のために、学校における給食指導を今一度見直していただきたいと切に願います。</div>
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